たかきび(タカキビ)の栽培方法② 出穂と開花、鳥害・害虫・病気の対策、収穫と乾燥
今回はたかきびの栽培方法について、出穂(しゅっすい)と開花、鳥害・害虫・病気の対策、収穫と乾燥についてご紹介しています。たかきびの栽培方法について、その他の記事はこちら(↓)をご参照ください。
出穂と開花
たかきびは、発芽から80日ほどで、穂が出てきます。これを出穂(しゅっすい)といいます。出穂間近になると、茎の先の穂が包まれている部分が発育してふくらみ(穂ばらみ)、出穂の前日には葉の合わせ目が開いて、穂先が見えるようになります。
出穂が始まると間もなく、先端から開花して、受粉が行われます。生長が悪い株は開花が遅れることがあります。そのため、種まき時の施肥をできるだけ均一にし、間引きをしっかりしておくことが大切です。
たかきびの花は黄色です。花といっても花びらはなく、黄色く見えるのはおしべで、めしべはほとんど見えません。イネ科作物は自殖性植物で、おしべの先端の花粉が入った袋が破れて花粉が飛び散り、自家受粉します。
この時期になると、側枝(そくし)が出ることがあります。北の地方では、このわき芽は寒さのため登熟(とうじゅく)(次第に発育・肥大し、炭水化物やタンパク質が集積されること)しませんので、早めに切り、取り除いた方がよいです。南の地方では、主幹を収穫後、1~2ヶ月で側枝の実が充実するので、もう一度収穫できます。
鳥害・害虫・病気の対策
雑穀を栽培するにあたり、最大の敵は鳥です。鳥たちは雑穀が大好き。空を舞いながら、虎視眈々と実が入るのを待っていますので、鳥害対策は欠かせません。
穂が出たら、防鳥ネットは必須です。穂ばらみが始まれば、穂の位置はほぼ確定するので、ネットを張っても大丈夫。先手必勝でいきましょう。
畑の周囲4点に竹などの支柱を立て、穂の上部20センチほどの高さにネットを張ります。面積によっては、ネットがたるまないよう、畑の中央にも支柱を立てます。穂からネットまでの間隔があきすぎると、横からの侵入を許してしまうので、空間をあけすぎないことが大切です。
たかきびは背が高くなるので、ネットの位置もかなり高くなります。1ヶ所に何種類もの雑穀を栽培すると、それぞれの背丈が違ってくるので、防鳥ネットの張り方にも工夫が必要になってきます。植える際には、防鳥対策を視野に入れつつ、栽培計画や畑をデザインするようにしましょう。(詳しくは、下記書籍のP.10とP.21をご参照ください。)
たかきびを含め、雑穀は全般に病気に強いので、病害についてはあまり神経質になる必要はありません。
害虫では、「アワノメイガ」「アワヨトウ」の発生に注意が必要です。
アワノメイガは、ひと夏に2回、関東以西では3~4回発生します。「芯食い虫」とも呼ばれ、ふ化直後の幼虫は葉を食べますが、3日ほどすると葉の付け根あたりから茎に入り込み、内部を食害します。夏の暑い時期、穂が出る頃に発生したアワノメイガに穂の付け根の茎を食べられると、収穫を目前にした穂が首のところでポッキリ折れてしまいます。
食べかすや糞は、アワノメイガが入り込んだ穴から排出され、時間が経つと鋸屑(のこくず)のようになってかたまります。これを見つけたら、その株ごと抜き取り、必ず焼却すること。放っておくと、越冬して翌年にまた発生します。特に冬の気候が温暖な地方では、焼却は必須です。使用できる指定農薬はないので、とにかくまめに巡回し、発生していないかチェックすることです。
収穫と乾燥
たかきびの実は、はじめは白っぽい色をしていますが、だんだん赤茶色に変わっていきます。雑穀の中では脱粒(だつりゅう)(粒が落ちること)しにくいので、赤茶色が濃くなるまで待ち、十分稔らせてから刈り取ります。まだ白い実のものは収穫せず、十分実るまで待ち、二度目の収穫を行います。白いうちに収穫すると、調整時に脱穀しにくくなります。
穂の先端から約60センチのところを、1本ずつ、茎だけを稲刈り用のノコギリ鎌で切ります。5~10本ずつまとめて束にし、麻ひもなどで縛り、風通しのいい場所に、穂を下にして提げて乾燥させます。
ビニールハウスがあれば最高ですが、軒下など、雨があたらない所で、地面からの雨の跳ね返りが届かないくらいの位置に提げてください。横に棒を渡すことができれば、結わえた束を半分ずつに分け、振り分け荷物のようにして棒にかけます。棒がなければ、縛ったひもを輪にして、壁面等に留めておきます。
雑穀栽培をより詳しく知りたい方へ、本やDVDのご紹介
雑穀の育て方について、詳しくは、下記の書籍またはDVDを参考にしてください。
※ 雑穀のタネは、毎年4月中旬~5月いっぱいを目安に「未来食ショップ つぶつぶ」で販売しています。(農薬や化学肥料を使わずに栽培された在来種の種です。)
タカキビについて詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
たかきびとは? たかきびの栄養、効能など