【油の話 vol.2】元気な細胞を作る鍵は2つの必須脂肪酸のバランス
*この投稿は以前発刊していた会報誌『月刊つぶつぶ』より特集シリーズ「特集 油 〜健康を支える油、健康を損なう油〜」から一部編集して掲載しています。連載一覧はこちら
前回の記事では、油の重要な働きについて紹介しましたが、そのなかで健康を支える油はα-リノレン酸やリノール酸などの必須脂肪酸を多く含む油だということをお伝えしました。今回はこの必須脂肪酸について考えていきます。
2つの必須脂肪酸のバランスが鍵
α-リノレン酸とリノール酸はどちらも体内で合成できない必須脂肪酸です。正反対の調整機能を持ったこの2種類の必須脂肪酸のバランスが、元気な細胞を作る鍵になります。
どちらも不可欠な脂肪酸ですが、α-リノレン酸不足でリノール酸を過剰にとり過ぎると、リノール酸が炎症性を高め、免疫力を低下させる方に働いて、肺ガン、乳ガン、子宮ガン、 卵巣ガンなどの原因になってしまうことが近年の研究でわかってきています。
ところが、米、小麦、トウモロコシ(特に精製したもの)に含まれる必須脂肪酸はリノール酸に片寄っています。市販の精製植物油も酸化を防ぐためにα-リノレン酸を除去したリノール酸ばかりの油です。
また、動物性の油や気候の違うところで採れるヤシ油やパーム油には、α-リ ノレン酸がほとんど含まれていないだけでなく、体にとって危険な成分がいっぱいです。積極的にα-リノレン酸を含む油や食品を食べる食卓が健康の鍵を握っています。
良心的なメーカーが古代からの製法で絞っている菜種油やゴマ油、オリーブ油、エゴマ油、麻の実油がおすすめです。今回の連載では作り手のハートのこもった本物の油を紹介する予定です。
※ 麻の実油はフラックス油とは違うので要注意。フラックス油というのは日本では採れない亜麻の種子から作る亜麻仁油のことです。
α-リノレン酸を摂るには
菜種油にゴマ油を混ぜて常食し、エゴマ、クルミ、麻の実を積極的に食べることで必須脂肪酸のバランスを健全にすることができます。
α-リノレン酸は脳の働きを高め頭を良くすると騒がれたEPAやDHAなどと同じ種類の脂肪酸です。魚にしか含まれていないと誤解されますが、種子と木の実と豆にはα-リノレン酸がバランス良く含まれています。
カボチャ、ハクサイ、インゲン豆、エノキダケ、味噌、納豆、高野豆腐、海藻、果物、根菜、緑の濃い野菜や雑穀にもα-リノレン酸は含まれています。
油摂取の適量
- 1日大さじ1〜2杯
- 食品トータルで大さじ3(30g)が目安
肉100gには20〜40gの動物性脂肪が含まれています。動物性食品を日常的にたくさん食べる人たちにとっては脂肪の摂取を抑えることは重要課題ですが、動物性食品を食べない場合は、木の実、種子、豆などを意識してたっぷり食べるか、適量の植物油を補わないと、脂肪の欠乏症を引き起こす可性があります。
多少余分にとる脂肪は血糖値を安定させ、体を温め、体内の諸器官を守ります。ベジタリアンの場合は、過剰よりも不足を心配する必要があります。