【油の話 vol.1】重要な油の働きとは?
*この投稿は以前発刊していた会報誌『月刊つぶつぶ』より特集シリーズ「特集 油 〜健康を支える油、健康を損なう油〜」から一部編集して掲載しています。連載一覧はこちら
すべての油がいっしょくたに健康を害するものとして有害視されるようになっていますが、実は、油には健康維持にとって欠かすことのできない油と有害な油があるのです。
油の働きは、生命維持の根幹に関わっているので、油切れは健康の敵です。穀物や野菜中心の食事をしている人は、特に、意識した油の補給が必要です。
健康を支える油の働きと油の選び方とを知って、油への信頼と、大地の風味に満ちたおいしい食卓を取り戻しましょう。
重要な油の働きとは
油は水と表裏一体になって、塩とともに体の万能調節剤として働いています。
体脂肪は中性脂肪と呼ばれますが、内臓や体を保護するクッション、断熱材としての働きがあり、神経細胞を覆う絶縁体などの役割も担っています。健康な体を作るだけでなく、油で調理すると食べ物の風味が増し、消化も良くなり、熱による殺菌効果も期待できます。
特に、体内で合成できない必須脂肪酸が健康に深く関わっていて、細胞の再生と成長を促し、自らもその構成要素として、健康な骨、神経、皮膚、細胞膜を作ります。ホルモンやビタミンD、その他の体機能調整物質の原料でもあります。
健康を支える油はα-リノレン酸やリノール酸などの必須脂肪酸を多く含む油です。特に欠乏しがちな α-リノレン酸には、血液と血管をなめらかにする、神経細胞の形成を促し神経の働きを高める、脳の発達を促す、放射線の害を抑制するなどの働きが注目されています。
α-リノレン酸はコレステロールの制御、自律神経の制御、血圧の調整、筋肉の収縮、水分の保持などにも深く関わり、免疫力を高め、若さを保ってくれます。その重要な脂肪酸が現代の食事にはほとんど含まれていません。怖い話です。
母乳にはα-リノレン酸が含まれ、胎児の脳の発育や神経の発達、免疫力の形成を促進しますが、粉ミルクには含まれていないのです。