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未来食つぶつぶ 公式ブログ

雑穀の里・岩手県岩泉町の暮らし⑨ 土地と資源のフル活用:ヒエ・大麦・大豆の二年三毛作

岩手県岩泉町は、雑穀が当たり前の暮らしが日本で一番長く、昭和40年代後半まで続いていました。そんな岩泉町で生まれ育ったのがつぶつぶ料理コーチの佐々木眞知子さん。

古くから雑穀を栽培し食べてきた岩手県岩泉町の暮らし、雑穀文化の源流について連載でレポートしています。

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雑穀の里・岩手県岩泉町の暮らし »

二年三毛作の高度な農耕システム

「岩泉の子どもたちは空を三角に描く」筆者が岩泉町に住んでいた頃、よく聞いた笑い話です。

急峻な山々に囲まれ、その谷間の川筋に沿って人々が暮らしている、岩泉は一部を除きほとんどがそんな地形の町です。そのため、作物を育てるのに適した日当たりのよい土地も限られています。

そんな地域での伝統的な農耕の知恵が二年三毛作(同じ土地で2年間で3種類の作物を栽培すること)です。

1年目はヒエを播きます。そして秋、ヒエを収穫したら肥やしを撒き、すぐに大麦を播きます。大麦は雪の下で冬を越し、翌2年目の春、大麦の合間に大豆を播きます。夏、大豆が大きくなりかけた頃、大麦を収穫します。

大麦の刈り株は、引き抜いて大豆の根元に寄せ、土をかけます。その後、秋に大豆を収穫し、二年三毛作が一巡するのです。

成長したヒエの穂

二年三毛作の畑は、ヒエを収穫する畑(1年目)と大麦・大豆を収穫する畑(2年目)に二等分され、毎年ヒエ・大麦・大豆が同じくらい収穫できるようにしていたのだそうです。

同じ畑で一つの作物を繰り返し栽培すると連作障害が出るので、自然とそれを避ける輪作体系にもなっています。

また、ヒエと大麦を播く前には肥やしを入れますが、大豆は肥えた畑に植えるとうまく実らないので、大麦の合間に播くのがちょうどよかったのです。

二年三毛作の細かいやり方は、家庭によって様々だったようですが、限られた農地を効率よく活用し、主食であったヒエと大麦、そして味噌や豆腐など食生活に欠かせなかった大豆を安定的に栽培するための高度なシステムだったことが分かります。

「(二年三毛作の畑は)子どもの頃は当たり前のように見ていた風景ですが、田んぼができて、米を主食として食べるようになってから無くなっていったような気がします」と眞知子さん。

農場内で資源を循環

二年三毛作のシステムを見ていくと、エコロジカルな資源循環の姿も浮かび上がってきます。

ヒエ、大麦、大豆の実は人が食べ、残った茎や葉などの殻は飼料として牛が食べたり牛の寝床に敷く敷料にします。そして、人糞や牛の糞尿の混ざった敷料は肥やしとして畑に還すのです。

刈り取り間近の大麦の傍らで育つ大豆

これに関連して、ジキフリという興味深い雑穀の種まきの方法がありました。畑の隅に穴を掘って人や牛、蚕などの糞尿を入れて混ぜたもの(ジキ)を作り、ヒエなどの雑穀の種を混ぜて一緒に播くのだそうです。

ジキを樽に入れ、ひしゃくですくって播く方法や手ですくって振り播く方法がありましたが、雑穀の小さな種を均等に播くことができたり、種を肥料と一緒に播くことができるという利点があります。

「ヒエ播きはゆいでの作業で、男の人がジキフリ役でした。栽培面積が広く、ジキフリは樽を持っての重労働になるので、男手の方が体力的にも勝っているためです。その後ろから、女の人が、手を後ろ手に組んで、足で土をよせながら歩いている光景は今でも覚えています。」という眞知子さんも、今では見られなくなってしまった二年三毛作にチャレンジ中。 今年の収穫も楽しみです!

 


○ 話し手:つぶつぶ料理コーチ 佐々木眞知子さん

日本で一番長く雑穀食が続いていた岩手県岩泉町生まれ。雑穀が 普通にある暮らしとその劇的変化を体験して育つ。町の栄養士を長 年務めながらも、近代栄養学に疑問を感じていたときに、つぶつぶ と出あう。早期退職後、夫と共に雑穀栽培にも取り組んでいる。
【岩手・岩泉】雑穀栽培体験×つぶつぶ料理レッスン コスモス

○ 聞き手・文:つぶつぶマザー伊藤信子さん

東京生まれ。大学卒業後、岩手県北の集落で雑穀のある伝統的な農 業や食文化を丸ごと体験、自然と文化と人の懐の深さに魅了され、岩 手に移住。岩泉町にも約8年間暮らす。現在は、雫石町にある自宅兼 アトリエでつぶつぶのセミナーや料理教室を開催している。4児の母。
岩手・仙台 つぶつぶ料理教室 つばさ

 

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  1. 私たちが雑穀につけた愛称
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  3. 生命のルールにかなう生き方の提案
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