日本の雑穀栽培の火を消さないために、つぶつぶライフシードキャンペーンとは
つぶつぶでは毎年春に、雑穀普及を目的とした「ライフシードキャンペーン」を実施しています。今回の記事では日本を取り巻く雑穀事情、なぜライフシードキャンペーンを始めるに至ったか、そのキャンペーンがどのような広がりを見せているかご紹介します。
雑穀食文化の衰退と輸入雑穀の台頭
雑穀は明治の初めまで米よりたくさん栽培されていて、山間地では昭和30年代まで主食として食べられていました。
ところが、政府の西洋化政策による生活の近代化が進むにつれて、雑穀は急速に日常の食卓から姿を消し、三十数年前にはほとんどの日本人がその存在すら知らないという状況になっていました。
ちょうどその頃、一時的に雑穀がアトピーの治療食として注目され出しました。その結果、急騰する需要に追いつかず、飼料用に輸入されていた農薬や燻蒸(くんじょう)薬品の残留した雑穀が国産無農薬と表示して売られる等の事態が起こりました。
今でも、国内生産量の10倍もの輸入雑穀が国産として流通しているようです。
雑穀生産の新しい動き
そこで、私たちつぶつぶは雑穀の存在をもっと広く知ってもらい、栽培法が明確な雑穀を普及していくためにキャンペーンを始めました。
それが1996年4月にスタートした「ライフシードキャンペーン」です。
「ライフシード」=「命の種」の意味は二つあります。
一つは私たちの命を養う穀物の種そのもの、もう一つは食文化という大きな意味での命の種です。
「雑穀の消滅とともに消えつつあった伝統食文化を、雑穀とともによみがえらせよう!」と提案して次の3つの活動をしています。
◯ 雑穀の種子とその多様性を守りつなぐ
◯ 日本の風土と日本人の体質に合う健康な食文化を守り育てる
◯ 地球生態系と人間の体のメカニズムに合う持続可能な食文化を創造する
このキャンペーンは新聞にも取り上げられ、200人もの人が雑穀栽培にチャレンジし「つぶつぶクッキング」の輪が広がりました。
さらに、このキャンペーンの呼びかけに呼応する人たちの中には、エコロジカルな自給農生活(自分や家族で食べることを主な目的として農産物を栽培すること)をめざす人や有機農業に取り組む人たち、新規就農者がいました。
彼らは「農や食の生態循環に一番合った作物、循環型農業への転換の鍵になる作物」といった視点から、新しく自発的に雑穀栽培に取り組もうとしていた人たちです。彼らの取り組みと私たちつぶつぶを結ぶネットワークを「つぶつぶ栽培者ネット」と呼んでいます。
透明な雑穀流通を目指す
「つぶつぶ栽培者ネット」で個人生産者が増えていく一方、岩手県や福島県などをはじめとする各地で、雑穀の生産に取り組む自治体も徐々に現れ始めました。暮らし手の中にも、健全な食を求める欲求の高まりから、雑穀に魅力を感じ、つぶつぶクッキングを日々実践する人たちが確実に増えてきていました。
しかし、雑穀の栽培に取り組もうと思っても、調整法がわからない、売り先を見つけられない、収益があがらないなどの問題を抱えていました。暮らし手の方もどこで買ったらいいか、どう調理したらいいかなどがわからず、あきらめてしまう人も多くいました。
そこで1998年4月、私たちの呼びかけで、栽培者、暮らし手、売り手、料理人など、さまざまな立場から雑穀に取り組んでいる仲間たちが、山形県小国町のライフスタディーセンター「いのちのアトリエ」に集まりました。
国内の雑穀栽培の火を消さないために、「作る人」と「食べる人」、そしてそれを「つなぐシステム」を実現しようと、泊まり込みで話し合いをしました。
栽培者と暮らし手の双方に、雑穀栽培、食の意味とおいしさ、そして現代のライフスタイルと感性に合った料理の技術を伝えたい、さらに両者をつないで顔の見える、かつ仕事として成り立つ雑穀販売の仕組みを作りたい…。
積極的な話し合いと取り組みの末、2000年春、「つぶつぶ」ブランドの「1カップシリーズ」が誕生しました。
無農薬・無化学肥料での栽培
つぶつぶ雑穀の「つぶつぶ栽培者ネット」産は、つぶつぶの活動に賛同し、自宅でつぶつぶ料理を実践している栽培者さんが育てた雑穀です。主に、手作業で無農薬・無化学肥料で栽培しているため一人当たりの生産量が少なく、本当に希少な国産雑穀です。
それをつぶつぶが「生産の継続が可能な適正価格」で買い取り、つぶつぶの会員に販売しています。
「つぶつぶ栽培者ネット」生産者は、調整、パック詰めも自ら行い、手数料を入れた価格でつぶつぶに卸しています。パック詰めの手数料も収入になり、自分で直接パック済みの雑穀を販売し収益を大きくする、というシステムです。
その分、販売価格は高くなりますが、生産者がきちんとした雑穀栽培を継続でき、かつ買い手がより安全でおいしい雑穀を手に入れるための方法だと私たちは考えています。
価格の安さばかり追いかけると、国産雑穀の生産はきっと途絶えてしまいます。
生産、流通、消費の新しい輪をつなぎ育てる
つぶつぶは、ライフシードキャンペーンを通じて、次の3つの活動をトータルに推進しています。
① 適正価格で全量買い取ることによって雑穀栽培の輪を広げる
② 雑穀の価値とおいしさ、料理法を伝え、未来食実践者の輪を広げる
③ 雑穀栽培者と未来食実践者の顔の見える流通ネットワークを育てる
2024年のライフシードキャンペーン
今年も4月1日より「ライフシードキャンペーン」を実施します。
以下、2つのプランがございます。
① 雑穀の種の配布
② 雑穀栽培体験×つぶつぶ料理レッスン
詳しくは以下のバナーよりどうぞ!