シコクビエの栽培方法① 畑の準備 〜種まき・草取り・間引き・土寄せ〜
前回の「たかきび」に続いて、今回は「シコクビエ」の畑の準備〜種まき・草取り・間引き・土寄せ〜をご紹介します。シコクビエの栽培方法について、その他の記事はこちら(↓)をご参照ください。
シコクビエの栽培方法② 〜出穂と開花、鳥害・害虫・病気の対策、収穫と乾燥〜 »
シコクビエの栽培方法③ 脱穀・調整 »
シコクビエについて詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
シコクビエ(ラギ)とは? シコクビエの歴史、適した料理などご紹介 »
シコクビエって、どんな雑穀?
シコクビエは、穂の形が手の指のようであることから、英語名はフィンガー・ミレット。インドではラギ、スリランカではコラカンと呼ばれています。
日本での呼び名は、地方によりエゾヒエ、コウボウヒエ、カモアシヒエなどさまざまです。エチオピアからウガンダにかけての高原地帯が起源とされ、日本には縄文時代晩期にインド北東部から中国南部を経て伝わったといわれます。暑い気候を好み、「シコクビエ」の語源も「四国地方」に由来するという説があります。
また、道端でも育つくらい強靭な作物で、干ばつや病害虫にも強く、反(10アール)当たり4石(こく)(1石は180リットル)穫れるので「四石ビエ」という説もあります。
栽培の特性
分けつ(株分かれ)・側枝(枝分かれ)が多く、成熟期がばらつくのが特徴です。収穫時期をどこに定めるのか難しい作物です。
殻がないので、脱穀後の調整は行いませんが、主に粉にして食べるので、製粉の作業が必要です。ミネラルが豊富で、なかでもカルシウムはアワやキビ、ヒエの10倍も含まれています。日本では団子やそばがきなど、主に粉にして食べてきました。アルカリ性で、消化が良く、アレルゲン(アレルギーの原因物質)にならない穀物としても、注目されています。
シコクビエの育てかたと手順
1. 畑の準備
痩せ地でもたくましく育つシコクビエの畑には、肥料は入れません。種を蒔く前に耕起(こうき)(土起こし)し、平らにならすだけでOK。種を蒔く場所を決めたら、まっすぐ蒔くために両端に棒を立て、紐を張ります。列と列の間は、他の雑穀同様、管理機などの幅に合わせて60〜90センチを目処にしてください。
2-1. 種を畑に直接まく方法
畑に直接種をまく、直播(じかまき)の方法をお伝えします。
1アール当たり100〜120ccほどの種を準備し、平らにならした土に、深さ1センチの穴をあけ、種を4〜5粒ずつ蒔きます。1本の苗が、分けつして10〜15本になるので、株間は広め(20センチ以上)にとります。種を蒔いたら土をかけ、手または足で軽く踏んでおさえます。
2-2. 苗を育ててから畑に植えつける方法
セルトレイという、小さい穴がたくさん並んだ育苗(いくびょう)パネルに種まきし、ある程度の大きさの苗に育ててから畑に植えつける方法もあります。
シコクビエは発根が旺盛で、移植してもよく活着しますので、育苗して植えつけるのにもむきます。(育苗のやり方は、下記書籍のP.15〜18に写真付きで詳しく紹介しています)
3. 間引き・草取り・土寄せ
分けつが活発なシコクビエは、間引き・土寄せが欠かせません。
10センチほどになったら、間引いて3本にします。
草取りは間引きまでに1回。その後、早いうちに土寄せをします。シコクビエはそれほど背丈が高くはならないのですが(1メートル前後)、株が広がり、かつ茎が扁平で、安定性がよくないため、倒伏しないように支える必要があるからです。
最初の土寄せの時期は、高さが30センチくらいになった頃に。その後も、出穂までの生育がゆっくりですから、土寄せを兼ねた中耕(ちゅうこう)(列の間の土を管理機または平鍬などで耕すこと)・培土(ばいど)(耕してやわらかくなった土を株元に寄せること)を行ってください。
雑穀栽培をより詳しく知りたい方へ、本やDVDのご紹介
雑穀の育て方について、詳しくは、下記の書籍またはDVDを参考にしてください。
※ 雑穀のタネは、毎年4月中旬〜5月いっぱいを目安に「未来食ショップ つぶつぶ」で販売しています。(農薬や化学肥料を使わずに栽培された在来種の種です。)