日本生まれのビーガン食システム 未来食つぶつぶ 1…未来食つぶつぶ創始者・大谷ゆみこ連載
現代の日本はベジタリアンを実践するのが世界一難しい国になっています。
2019年5月にインド大使館で行われた「マハトマ・ガンジー生誕150周年記念ベジタリアンフェス」でインドから来られている職員の方が「日本では妥協するしかないと諦めている」と発言され、ケータリングで並んだ未来食つぶつぶの存在とおいしさに感動されていました。
日本の食の歴史の真実
歴史をひもといてみると、今の日本の食環境からは想像もつかない日本の食の真実があります。縄文時代(1万6500年前〜3000年前)の日本各地の縄文遺跡から出土した土器からは炭化した雑穀粒が検出されています。縄文遺跡から出土したのは、ヒエ、アワ、キビなどのイネ科作物でした。
675年4月17日に最初の肉食禁止令が発布されて以来、明治4年(1871)12月17日に禁が解かれるまでの1200年に渡って、肉食を穢れとして忌避する文化が醸成されてきた国が日本です。労働用の牛馬はいても、食用家畜を持たなかった歴史は他のアジア地域と一線を画する日本文化史の大きな特徴と言われています。
明治維新以降も、肉食が庶民に浸透するのには長い時間がかかりました。1970年頃まで雑穀主食の自給生活が残っていた東北の山村では、農協の指導などで牛の飼育を仕事にしていても肉を食べる習慣は無く、雑穀菜食が生活の中心として続いていました。
今年94歳になる私の母の実家は庄屋農家でしたが、私が幼いころまで牛小屋には茶色の農耕に使う牛がいて家族のように大切にしていました。そして、死んだらお墓に葬ったのです。
食といのちのバランスシート
未来食つぶつぶは、日本の風土で醸成されてきた穀物を主食としたビーガン食文化の智恵と技を古代からひもとき、生理学や栄養学の最先端の研究に照らし合わせて組み立てた、健康な心身を創る食システムです。料理の技術革新と絶賛されるシンプルでおいしいオリジナルの料理レシピが3000以上あり、著書として発表されています。
未来食つぶつぶは、料理を越えた新しい食システムの提案です。37年前に研究をスタートし、1995年に著書『未来食』で発表した栄養学に変わる新しい食の指針「食といのちのバランスシート」をガイド実践することで、主体的に健康な食生活を楽しむことができます。2015年には日本学術会議から正式に認められた日本ベジタリアン学会に英語論文が受理されました。
「食といのちのバランスシート」の縦軸は、陰陽バランスのスケールです。
明治初期の軍医で食養の創始者である石塚左玄が、陽性のナトリウム(N)と陰性のカリウム(K)のバランスが崩れることで病気が起こるとして提唱した食の陰陽理論に基づいたものです。
軸の上に行くほど陰性です。水と陰性(カリウム性)の食べ物は体を冷やし不活性にするクーラーのような働きがあり、適度に食べることで体をリラックスさせる効果もあります。反対に火(日)と陽性(ナトリウム性)の食べ物は体を温めて活性化させるヒーターのような働きをします。
横軸は酸アルカリ平衡を示しています。人間を含む動物の体の中では、血液や体液の酸性度とアルカリ性度のバランスを調整する酸アルカリ平衡が常に行われています。それが正常範囲から少し外れただけでも、多くの器官に著しい影響を与えるため、厳密に調節されています。その働きを担っているのが血液です。血液には、体内で発生し続ける酸性物質を瞬時に中和する役割があり、そのために、常に弱アルカリ性(pH7.4)を保つ必要があります。
血液を弱アルカリ性に保つのは、「健全な呼吸」と「ミネラルに富んだアルカリ性の水」と「中性からアルカリ性の食べ物で構成されたトータルで弱アルカリ性に整えられた食事」です。
ごはんはニュートラル&バランス栄養食
人間の体は温かい血液を持っています。健康を維持するには、温かい血液を作り、温かい体を維持する食べ物が必要です。また、人間の血液は弱アルカリ性を保つことで身体のバランスを保つことを可能にしています。酸性の食べ物ばかりの食生活が続くと、体は何とか血液の弱アルカリ度を保とうと、様々な異常行動を起こします。
ごはん、特に雑穀入りごはんは、二つの指標のどちらもニュートラル、真ん中に位置する食べ物です。だから、食べる量を気にしなくても体のバランスは崩れないのです。その上、人間の体が必要としている栄養のほとんどすべてを絶妙のバランスで含んでいます。「食といのちのバランスシート」には、なぜ、ごはんが主食の座に位置してきたのかが、明確に表れています。
同時に、現代食がどれほど人間の体のメカニズムから外れたものかも明確に表れています。
アルカリ性のヒーター食品「海の塩」
このフレームの性質を持つ食べ物は、伝統製法の塩とその仲間だけです。
体をアルカリ性にして温める唯一の食べ物が伝統製法の「海の塩」とその仲間の味噌、醤油、漬物なのです。塩の主成分であるナトリウム(Na)には、体を温める働きがあります。そして、ナトリウムをはじめ塩に含まれるミネラルには体をアルカリ性にする働きがあります。
酸性のヒーター食品「動物性食品」
動物性の食べ物はナトリウムを多く含むので体を温める働きがあります。また、動物の体はアルカリを食べて酸性の排泄物を出すしくみで運営されているので、動物性の食べ物には酸性の有害物質が溜まっています。つまり、動物性の食べ物は酸性のヒーター食品なのです。
また、動物の脂肪部分や卵には、有害物質が凝縮して溜まっています。酸性のヒーター食品である肉や卵を日常的にたくさん食べると、血液がどろどろの酸性になり、原因不明の症状や難病に悩まされることになります。
アルカリ性のクーラー食品「植物」
植物はカリウム(K)を多く含む生命体です。カリウムには体を冷やす働きがあります。また、植物の生命活動は酸からアルカリなので、植物にはアルカリ性の物質がたくさん含まれています。つまり、植物はアルカリ性のクーラー食品なのです。酸素を燃やしてエネルギーを得て動いている体を適度に冷却する役割があります。
また、植物の葉緑素とミネラルと種々の薬効成分が、気候風土への適応力も支えてくれます。
このフレームの食べ物は植物や植物由来の酒、油、酢などです。
上図の矢印の方向で中和が可能なので、暑い夏は水を飲む、夏野菜や果物を食べる、ことで身体を暑さから守り、反対に寒い日は塩を効かせたよく煮込んだ料理が寒さに負けない体調を作ります。酸性の肉の害は、アルカリ性の野菜をたっぷり食べることである程度打ち消すことができます。
食といのちのバランスシートからは動物食を減らすことの重要性が視覚的に分かります。また、化学物質づけ、砂糖づけの現代は、かつてのどの時代よりもきちんとごはんを食べ、自然塩とその発酵調味料を摂取する必要があることも分かります。肉食やごはん抜きダイエットの危険性、減塩によって化学物質や砂糖の害がさらに大きく深くなってきたことをぜひ、知って欲しいと思っています。
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未来食つぶつぶ創始者大谷ゆみこプロフィール
1982年から生命のルールに沿ったおいしい「料理のデザイン」とワクワク弾む「心のデザイン」という分野を開拓し先駆的な活動を続けている。
雑穀が主役の健康をもたらす、日本生まれのおいしい食システム「未来食」を提唱。1995年に誕生した「未来食セミナー」のプログラムで、日本各地の何千という人びとに家族ぐるみの健康と幸せのスキルを伝え続けている。
2008年から、女性の目覚めをサポートする天女セミナー&レッスンを運営。
未来食の手料理の魅力と技を伝える「つぶつぶ料理教室」を全国展開、本部は東京早稲田。
暮らしの拠点は広葉樹林と7色の雑穀畑に囲まれた「未来食ライフラボ/いのちのアトリエ@山形小国」。日本ベジタリアンアワード第1回ビーガン賞、第2回大賞、第3回料理家グループ賞受賞。『大人女子は人生を食で奏でる』『未来食7つのキーフード』『つぶつぶクッキングSTARTBOOK』『ごはんの力』『野菜だけ?』など著書多数。
日本で2人目女性初の日本ベジタリアン学会認定マイスター。日本ベジタリアン学会理事。