【ベジタリアンを知る vol.24】ベジタリアン・ビーガン食品のJPVS(日本ベジタリアン協会)推奨について
*この投稿は以前発刊していた会報誌『月刊つぶつぶ』より連載シリーズ「ベジタリアンを知る」から一部編集して掲載しています。連載一覧はこちら
執筆:NPO法人日本ベジタリアン協会代表 歯学博士 垣本 充
ベジリアンの食品表示については国際ベジタリアン連合(IVU)の規定、ビーガン、ラクト・ベジタリアン、ラクト・オボ・ベジタリアンの3タイプがベジタリアン食品のタイプ別表示の国際的基準とされています。
英国で2006年に、食品会社やスーパーなどが独自に作成した「曖昧で不正確な表示」が社会問題化しました。これは、原材料が植物性100%でも、遺伝子組み換え食品や動物性成分の汚染(コンタミ)など疑いが生じたことがあり、英国政府食品基準庁(FSA)は、英国ベジタリアン協会と英国ビーガン協会などと協議を重ね、ベジタリアン、ビーガンの適切な食品表示のためのガイダンスを作成しました。
2010年に欧州議会は、ベジタリアン、ビーガンという用語の使用に合法的な位置づけを与えることを採択しました。そして、これは猶予期間を経た2015年以降、ベジタリアンやビーガンという用語の誤用が見出される製造業者に対して公的訴訟を起こしうることを意味します。
日本ベジタリアン協会(JPVS)推奨のベジタリアン・ビーガン食品
今回は、英国ベジタリアン協会のベジタリアン食品表示を参考にして作成されたJPVS推奨について詳しく述べたいと思います。
JPVS推奨制度は日本ベジタリアン協会の活動基盤である「人と地球の健康を考える」の視点によって①~⑤までの規定が作成されました。
① 類型(タイプ)
- ベジタリアン食材として適切な植物性食品:ビーガン(純菜食)
- ベジタリアン食材として適切な乳を含む食品:ラクト・ベジタリアン(乳菜食)
- ベジタリアン食材として適切な乳・卵を含む食品:ラクト・オボ・ベジタリアン(乳卵菜食)
② 人の健康や地球環境保全、食料問題、途上国の飢餓救済、動物愛護等に貢献する食品であること。
③ 畜肉、鶏肉、魚貝または骨のストック(だし)、動物性脂肪(油脂)、ゼラチン、アスピック(魚ゼリー)、ローヤルゼリーなどが含まれないこと。食品添加物についても動物性由来のものは使用しないこと。
④ 生産の過程で遺伝子組み換え素材を使用しないこと。組み替えられたDNA及びこれらによって生じたタンパク質が加工後に残存しないこと。
⑤ 製造工程で非ベジタリアン食材に汚染されないこと(動物性成分のコンタミがないか検査を行う)など上記5項目を基準に選定します。
推奨認可については、日本ベジタリアン学会所属の理学、医学、歯学、栄養学、農学、環境科学などの博士号を有する複数の専門家によって構成されるJPVS推奨委員会で上記5項目にわたり審議し、推奨食品に値するかを判定します。
その際、英国ベジタリアン協会のSeedling Symbol認証や 英国政府食品基準庁のガイダンスを参考にします。また、 推奨食品について疑義が生じた際、本協会または然るべき検査機関が検査を行い、JPVS推奨委員会で推奨を取り消す場合があります。
日本ベジタリアン協会は2008年に国土交通省総合政策局の依頼で『多様な食文化・食習慣を有する外国人客への対応マニュアル』(観光庁HPで閲覧可)のベジタリアンの章を担当したことや2014年には農水省消費安全局からのべジタリン食品の国際表示についてヒアリングされていて、国際基準に達するベジタリアンやビーガン食品の表示を国内で普及させることが私たちの責務だと考えています。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、我が国でベジタリアン食のグローバルスタンダードの表示が時代の要請となっています。
NPO法人 日本ベジタリアン協会
日本ベジタリアン協会は、1993年4月設立、2001年2月に特定非営利活動法人(NPO法人)の認証を受けた非営利団体です。「人と地球の健康を考える」をテーマに菜食とそれに関連した健康、栄養、倫理、生命の尊厳、アニマルライツ、地球環境保全、発展途上国の飢餓などの問題に関する啓発や奉仕を目的とし、菜食に関心のある人々に必要な知識や実践方法を広め、共有していくためのネットワークづくりを行なっています。
HP:http://www.jpvs.org/