【ベジタリアンを知る vol.14】究極のベジタリアンと称されるビーガン(完全菜食)とは?
*この投稿は以前発刊していた会報誌『月刊つぶつぶ』より連載シリーズ「ベジタリアンを知る」から一部編集して掲載しています。連載一覧はこちら
執筆:NPO法人日本ベジタリアン協会代表 歯学博士 垣本 充
つぶつぶグランマゆみこ先生が栄えある“ビーガン賞”を受賞
2016年2月7日に名古屋で開催された第1回日本ベジタリアンアワード授賞式で、つぶつぶグランマゆみこ先生が栄えある“ビーガン賞”を受賞されました。この日本ベジタリアンアワードはNPO法人日本ベジタリアン協会など3団体が主催運営し、オールジャパンでベジタリアニズム啓発に取り組む人たちを表彰しようと制定されたものです。
未来食つぶつぶは究極のビーガン食と呼ばれているのですが、それでは、ビーガンとはどのような食のスタイルなのでしょうか?
2015年の本誌2月号「ベジタリアンを知る」連載第2回「ベジタリアンのタイプ:ビーガンからデミベジまで」でビーガンについて取り上げましたが、今回はゆみこ先生の受賞に合わせて、ビーガンについて少し深く掘り下げたいと思います。
ビーガンとは?
ビーガンは、純菜食(者)、完全菜食(者)などと和訳されているベジタリアンのカテゴリーの一つで植物性食品のみを食し、乳卵などの一切の動物性食品を食べないタイプです。
ビーガンは、最近まで成人病予防効果があるものの、栄養のバランスをとることが難しいとされていました。しかし、2009年、米国栄養士会が適切に用意された菜食(ビーガンを含む)は健康的で栄養的にも十分であるとの公式見解を発表しました。
そして、そのライフスタイルは欧米で注目を集め、2011年にはベルリンにビーガン向けスーパーマーケット「Veganz」が開店するなどポップな話題となっています。
Vegetarianという英語は19世紀半ばにラテン語から作られたことは以前に述べました。それではVeganという英語はいつ頃作られたものなのでしょうか?
Vegetarianという語が、世界最古のベジタリアン団体の誕生と同時期に作られた造語ですが、Veganも同様で、それより100年近く遅れて、英国ビーガン協会が設立された1944年に創設者の一人ドナルド・ワトソンが「酪農製品を食べないベジタリアン」を表すために作った語とされています。
ベジタリアンに多くの種類があるようにビーガンもいくつかの種類に分けられます。
- ダイエタリー・ビーガン:乳製品や蜂蜜、卵などを含む動物性食品を一切摂らず、植物性食品のみを食します。
- エシカル・ビーガン:食事だけでなく、衣食住生活全てにおいて動物製品の商品化を否定し、毛皮および皮革、ウール、シルクなど動物を使用した製品の一切を拒む人もいます。
- フルータリアン:一切の動物性食品を食べないのは前の二例と同じですが、彼らは植物が収穫後も死滅しないように、実や葉だけを食べ、根などを食べません。
それでは、ビーガニズムの本質を知るために、世界のビーガン団体のリーダーといえる「英国ビーガン協会」が掲げるキーワード“One World. Many lives. Our choice”を紹介したいと思います。
この標語について、英国ビーガン協会正会員でNPO法人日本ベジタリアン協会評議員の橋本晃一さんに和訳と簡単な解説を加えて頂きました。
多くの生命のために私たちは、”選択”し、一つの世界を築きましょう。(英国ビーガン協会キーワード)
「動物などから、むやみに摂取しない生き方を選択し、世界で起きている多くの問題に、取り組んで行きましょう。一人一人が意識し、繋がり合うことで、人やあらゆる生き物にとって、暖かく明るい未来を築いていきましょう。」という解説でした。
地球上のあらゆる生命に出来るだけ苦痛を与えない生き方、すなわち、人にも地球にもやさしいベジタリアンの究極の形がビーガンと言えるのではないでしょうか。
NPO法人 日本ベジタリアン協会
日本ベジタリアン協会は、1993年4月設立、2001年2月に特定非営利活動法人(NPO法人)の認証を受けた非営利団体です。「人と地球の健康を考える」をテーマに菜食とそれに関連した健康、栄養、倫理、生命の尊厳、アニマルライツ、地球環境保全、発展途上国の飢餓などの問題に関する啓発や奉仕を目的とし、菜食に関心のある人々に必要な知識や実践方法を広め、共有していくためのネットワークづくりを行なっています。
HP:http://www.jpvs.org/